サバが痛い

よそはよそ!うちはうち!

舞台芸術はいいぞ

コロナ禍ですっかり帝国劇場が宇宙よりも遠い場所になっていました。

ライブ配信とかも他公演やら音楽業界ではありましたが、やはり舞台って生で観るのが一番なので、DVDとか観てても眠くなってしまう。でも買うよ!好きだもの。

そんな人間なので東宝演劇部への忠誠心があまりない私ですが、緊急事態宣言が3月中に明けると睨んで2021年のモーツァルト!の推し、古川さんの初日と2公演目を取ったので行ってきました。2020年のエリザベートがあまりに帝劇だとチケット取れず、何枚か取れた御園座まで行けるところは追いかけていくプランを立てていたにもかかわらず、全部露と消えにし我が身かな。推しのピクチャーチケットと20周年記念パンフが手元に残って、ここではもう生きていけぬと動く泥はLDH沼で何とか息をしていました。

 

4月9日、実際は蔓延防止策が出る出ないという日でとてもじゃないが行くのは考え直せ!なタイミングだったのですが、私がもってるチケットは初日orGWの楽日近くでここで諦めたら上演中止でまた何も観れずに終わるのかもしれないと思ったら、つい。

幕が開いて、貴族に囲まれたモーツァルトが演奏しているシーンから始まるのだけど、静かに泣いてしまった。私が最後にまともに帝劇で観たのは2019年のエリザベートで、その後は古川さんのライブ行って、松本に来た天使にラブソングを…でミュージカルが止まってたので、本当1年ぶりに大好きな空間に戻ってこられたことを実感した。

席は大して良くもなく、2階席だったけどそんなのは問題じゃなかった。1幕目終わるのがあっという間で、休憩時間はロビーの椅子でぽけーっとしていたんだけど、フェイスシールドしているおばあちゃんがいて、ロビーの椅子も隣の席は一つ飛ばしで空いていて、喫茶スペースは解放されて営業してなくて、忘れてたけどそういう世の中だったんだなって現世に戻された。夢の世界であのまま生きていたかった。

 

翌日、もう1公演観て、それが2021年のモーツァルト!見納めになった。今回すごいチケットがとれて、毎週帝劇に来るようなことになってしまってたけどそれだけみんな観に来ることが出来ないんだなって。文化芸術が都市部の一部の人のためだけのものになってしまっていて、仕方ないことだけど本当に悲しいことだと思ってしまった。

元々当たるかわからないと沢山申し込んでいたのである程度のお譲りは仕方ないけど、結果的に2回しか観られなかったのがすごい心残り。次はいつ観られるか分からないのにね。

 

その次にハシゴした歌舞伎もそう。片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんの桜姫東文章は36年ぶりの共演!と騒がれていて、私は生まれてなかったし貴重さも全く理解出来てなかったけれど、生のニザ様が観たい!と勢いで行って良かった。生で観ないとあの空気感と、歌舞伎特有の観客と役者が揃って初めて成立する感覚の素晴らしさはわからなかったと思う。配信を否定するわけではないし、大学の講義とNHKの解説付きの番組で知識を深めていった人だけど、歌舞伎はやっぱ生で観てこその文化芸術作品だよね。

舞台芸術はナマモノだから賞味期限は劇場にいる時だけなのに。そう思ってたけど、あまりにも貴重な時間になってしまって、牛みたいに何回も何回も反芻している。

ジャンル問わず現場に行くたびに、早く脳内にチップを埋め込んで好きな時に好きなことを思い出して幸せになれる時代が来ないかなあと思うけど、今回は特に思った。